子捨てとヒロイン

 ああ、見たい。見たい。『デス妻』の続きが見たいよう。は、はやくシーズン3を・・・禁断症状が・・・!。

 さて、2nd シーズンでは、ついにブリーが子供のアンドリューを(文字通り)捨てました。色々紆余曲折あり、彼女なりに人事を尽くした末の結果ではありましたが、その論理は気持ち良いぐらい一貫していて明快です。それは、以下のような三段論法によって導かれます。

 大前提:私には幸福になる権利がある。私の幸福を阻害する要因は、これを排除する権利を有する。
 小前提:子供がいると私は不幸になる。
 結論:私には子供を排除する権利がある。

 とんでもない結論ですけど、でも推論としては妥当。だからもし結論を否定したいなら、二つの前提のうちどちらかを否定するほかない。でもブリーにはどちらもできない。幸福追求権はアメリカ独立宣言にも明言されるアメリカ人としての基本的な思考の枠組みを作るものだし、小前提を否定しようにも、アンドリューの素行不良はちょっと目に余りすぎる。ゆえに結論は揺るがない。

 ヒロイン級のキャラクターが子捨てに走るというのも、フェミニズムの国アメリカならではか・・・と思っていら、我が日本でもつい最近、ヒロインが子を捨てた名作ドラマがあったことを思い出しました。そう、今年の前期にやっていた『私たちの教科書』。菅野美穂演じる主役のたまこさんは、子供よりも弁護士としてのキャリアを優先させ、幼い子供を施設へ預けました。

 もっとも、流石に「子供という疫病神から解放されたたまこさんはバリバリ弁護士として活躍して充実した人生を送りました。おしまい」という筋書きにするのは、日本では少し先端的にすぎるので、たまこさんは子供を捨てたことを後悔し、その弔い合戦に身を投じていくことになります。

 翻って、我らがブリーは今後どうなるでしょうか。たまこさんのようにやがて後悔し、子供と和解を望むか、それとも気楽な独身生活を謳歌するか。これはサード・シーズンも注目ですよ。NHKがこのドラマを積極的に宣伝したがらない理由もよく分かる。