ジョー・セルコ『SQLパズル 第2版』

名著復活――データベースを極めるなら:ジョー・セルコ『SQLパズル 第2版』

 えー、このブログでは、日々どうでもいいよしなしごとのみを厳選して皆様にお届けしておりますが、今日はちょっと真面目なお知らせがあります。

 既にご存知の方もおられるかもしれませんが、J.セルコ『SQLパズル 第2版』の邦訳が出版されます。訳者は私。初版は、日本では時代が早過ぎて、文字通り伝説の本になってしまったけど、約10年の時を経て堂々の復活です。

 既に中国語にも翻訳が決まっており、中国語翻訳者の方とも連絡を取りながら、著者のセルコを含め3人の協業体制で翻訳を進めてきました。具体的には、私と中国語翻訳者の方が片端から質問を投げては、それに導師がズバズバ答えていく、という格好。おかげで原書よりもはるかに完成度の高い仕上がりとなりました。強力な援護をいただいた二人にも感謝。1年前には、自分がセルコとメールを遣り取りする日が来るとは、予想だにしませんでした。どこの馬の骨とも知れぬ私みたいな人間に望外のチャンスを与えてくれた翔泳社には、感謝の言葉がありません。

 パズルという親しみやすい形式をとっているので勘違いしやすいのですが、この本はいわゆるクックブックではありません。そう思って読むと、きっと頭がクラクラするだけで終わります。本書の目的は、一言で言えば「もっと先」へ読者を連れて行くことにあります。それがどういうところかは、読んでみてのお楽しみ、としておきましょう。でも読み終わったときには必ず、皆さんが全く見たことのない新しい地平が開けていることは、私が保証します(「お前に保証されてもな」と言われると一言もないけど)。

 これを機に、日本でもセルコの評価が高まって、他の著書の翻訳にもつながってくれれば、と願います。不朽の名著『プログラマのためのSQL 第3版』やDB界の『プログラミング作法』との呼び声も高い『SQL Programming Style』、統計分析へのデータベースの応用を切り開く『Analytics and OLAP in SQL』、そして極めつけは、木と階層構造の扱い方だけで一冊書いてしまった驚きの本『Trees and Hierarchies in SQL』(最近、私がこの本をまとめたSQLで木と階層構造のデータを扱う(1)―― 入れ子集合モデルはてなブックマークヒットをかっとばしたことは記憶に新しい)。どれも長く読みつがれるであろう好著です。

 さて、全国1千万の DB エンジニアの皆さん、ずいぶん待たせましたね。でも、待った甲斐はあった。