ナニー

 土曜日は旅先の旅館で寝転がって『Always』をみました。ちょうど1年前にも見たけど、二度見ても面白い。「何でもあるけど希望だけがない時代」(@村上龍)から見た「何にもないけど希望だけはある時代」は、なかなか感慨深いものがあります。どっちかを選べ、といわれれば、迷わず前者を選ぶけど。

 まだみんなが等しく貧乏で格差もなく、人々が連帯せずには生きられなかった時代には、確かに特有の幸福感があったのかもしれない。私はもちろん昭和33年を経験したことはありませんが、きっとあったのでしょう。でも、みんなが豊かになるにつれて格差が生まれ、連帯が失われていくのもまた不可避の過程です。『2』は四年後が舞台だそうですが、そういう中間共同体が崩壊していく様子も描かれるのでしょうか。

 私がもう一つこの映画で印象的だったのは、鈴木オートの奥さんが非常に大人だったことです。最後、家へ帰るのを渋るロクちゃんを「子供の顔がみたくない親などいないのよ」と説得するシーンを見て、ああ、大人な女性だなあ、と感じいりました。もちろん、子供の顔をみたくない親は沢山います。そのことは、奥さんも知っている。「口減らし」という言葉の意味を承知しているし、何より淳之介君のお母さんはまさにそういう親です。それでも、あえて「子供の顔がみたくない親などいないのよ」と嘘をつく。最近の映画やテレビでは見かけないまっとうな大人です。

 今日はぼーっとテレビを見ていたら、『世界まる見え!』で「ナニーにおまかせ!」(タイトルうろ覚え)をやっていました。これも食い入るようにみる。

 そんなにテレビを見ない私でもこのコーナー、5回は見たと思うので、結構な人気のようですね。子育てというより、半分は「親育て」に近い内容ですが、毎回、イギリス人がアメリカ人に教えるという結構になるのが面白い。ものの道理のわかった大人なイギリス人が、がさつで自分自身こどもじみているアメリカ人の親を啓蒙する、という構図。これ、反対にアメリカ人のナニーがイギリス人に教えるというケースでも番組として人気は出るでしょうか? ちょっと興味深い。