ヒーロー

 去年の12月に文庫された私のヒーロー(ヒロインではなく、あくまでヒーロー)斉藤美奈子さんの『文章読本さん江』を会社の近くの本屋で買ってきました。文庫化に時間がかかったような印象があるけど、でもそのぶん中身も忘れててちょうどいい塩梅なのでよしとしよう。

 本書は小林秀雄賞の第1回受賞作です。この賞の第6回受賞作は内田樹『私家版・ユダヤ文化論』。なかなか渋い選考をする賞です。二人とも小林秀雄なんかよりずっと素晴らしい批評家なんだから、いっそ「斉藤美奈子賞」と「内田樹賞」を設けてもいいぐらいです。これに「山形浩生」賞を三点セットで大々的に売り出す、というのが私の考える日本の書籍業界を救う起死回生の策です。もちろん御三方も直々に選考委員になっていただく。

 ま、それはそれとして、私は、応援している作家さんの本は、文庫化されたらたとえ大型本を持っていても、もう一度買うことにしています。これはなるべく収納スペースを有効活用したいという理由によるのですが、それで大型本を即座に古本屋へ持ち込めば、さらに新たな読者層の掘り起こしにも貢献するわけだから無駄がない。私もハッピー、著者もハッピー、そして私が売った本と出会う新規読者もハッピーと一石三鳥な方法なので、ひいきの作家のいる読書家の方は是非実践していただきたい。