危機の効用

 今週、全日本トラック協会が一種のマネーロンダリングの役割を持った団体だ、というニュースが流れました。税金から拠出される交付金を、この団体が受け取るとそれはもう税金ではなく、一民間団体の資金となるので、それを政治家に献金したりパーティ券を買っても、政治家は税金の横領には問われない。見事なマジックです。

 ガソリンや灯油の値段が高騰するのは生活を直撃して、基本的には大変困ることは間違いない危機ですが、それでも普段なら見つからない、こういうシステムの瑕疵が露になるという利点もあります。それに、みんなが切迫感を持っていないときに見つかっても、「ま、そういうことやる奴もいるよね」ぐらいで怒りが高まらない。必需品の値上げは困るけど、起きてしまった危機はできる限り利用したいものです。これを機に色んな膿を出してしまえばいい。これを「危機を転じて奇貨となす」と言います。