見本誌

 『SQL徹底指南書』の見本誌が届きました。装丁とデザインは『SQLパズル』のときと同じ轟木亜紀子さん。前回はパズルのピースをうまく使って、白地にビビッドな差し色の映える鮮やかなデザインでしたが、今回は赤を多く使った強い色調で、ダイナミックに直線と曲線が交差するインパクトのある表紙になりました。見事なプロの仕事です。初めての著書でこんな大胆なデザインでうって出て、いざ売れなかったら失笑ものだけど、まあ、そのときはそのとき。関係各位にはさらっと放念して許していただきましょう。

 早速、晩御飯を食べながら最終校正(念校)での修正が反映されていることを確認(行儀悪いな)。こちらもきっちり仕上げていただいており、斉木さんをはじめとする翔泳社の方々にも感謝。皆様のご協力のおかげで、今回も無事、書籍が完成しました。取り次ぎと営業の皆様、あとをよろしくお願いします。

 読んでいたら、また第2部が面白くて止まらなくなる。おかしいな。私はけっこう自分に厳しい人間だと思っていたんですが、意外にナルシストだったのかな? それとも、もしかしてこれ、本当に面白い? どうか後者でありますように。読者のためにも、そうであることを祈ります。

 でも本当に、データベースの「関係」が閉包性を持つという点で代数構造の「体(field)」の概念の一種であること、そしてそれはまたUNIXの「ファイル」の閉包性とも類比的に考えられること、ノイマンによる再帰集合を使った自然数の定義がランキング算出のクエリの原理にあって、それはまた高階関数を使って定義されるチャーチ数のバージョンとも基本的な考え方は同じであること、長い論理学の歴史の中で、3値論理がなぜ20世紀に入るまで生まれなかったのか、といった「色々な現象を一つの原理によってリンクさせる試み」は、たとえ自分で書いたテキストであっても読んでワクワクする。これはきっと、本書が「SQLとデータベースについての科学的解説」であるよりも、「SQLとデータベースという素材を使った科学」だからだな、うん。科学的な実験は、いつだって――たとえそれが失敗したときでも――私たちをワクワクさせるものですものね。