非対称なゲーム

 先週の土曜日、高校時代の友人の結婚式の二次会に顔を出してきました。10年ぶりぐらいに顔をあわせる人もいて、懐かしい顔ぶれと一緒に飲めて楽しい一日でした。

 その席で、久々にあった同級生の一人(女性)と「結婚における愛と現実について」というテーマで話をしていたときのことでした。彼女が首を振りながら、「どうも女より男のほうが結婚に対する真剣味がないような気がするのはなぜだろう」という疑問(と呼ぶか軽い不平と呼ぶか)を口にしました。別に当日の新郎がそう見えたのではなく、話はあくまで経験に基づく一般論だったのですが、この印象には私も大筋賛成します。そして、その理由も容易に想像がつく。

 世の男性に、たとえ結婚するということを決めた後でも、いまいち結婚というものを真剣に考えない傾向があるのは、結婚が男の人生に及ぼすインパクトが、女性より圧倒的に小さいからです。基本的に、男性の人生の中心は仕事をして家計を支えることです。そのライフスタイルは結婚の前後で変わることがない。力点はずっと仕事のほうに置かれたままです。

 一方、女性が結婚によって受ける影響は甚大です。多ければ複数回の出産を経験し、仕事を断念するかどうかの決断も迫られる。専業主婦になるのなら、自由な独身時代と変わって家の内がほとんど唯一の世界になる。夫の転勤について地方や海外まで行くことだってあるかもしれないし、「親と一緒に住んでくれ」とか言われるかもしれない。大げさでなく、人生が革命的に変わってしまう。男女平等が進んだとはいえ、依然として結婚は女性に対する負担のほうが大きなゲーム(もっとはっきり「不利なゲーム」と言ってもいい)なのです。だから、女性が結婚に対して男性よりはるかに真剣になるのは、当然のことです。男性が結婚の準備に熱が入らずヘラヘラしていると女性側がキレる、という構図は、このリスクの非対称性がある限りなくならない、一種の構造問題なのです。

 ・・・というようなことを言おうかと思ったのだけど、さすがに結婚を祝う場で、しかも初対面に近い人間に言うには少し身も蓋もないと思って、あいまいな返事でお茶を濁してしまった。

 でもまあ、私としてはそういうことが言いたかったのです。伝わらなかったと思うけど、賢い女性なら、いずれ自分で気づくことになる・・・。