統一と多様

 ※システム業界以外の人には無関係の内容です。

 先週の木曜、青山のオラクル本社で「WebLogic勉強会 第4回」に参加してきました。私は Web/AP サーバの経験はそれほどないのだけど、最近仕事で使うことが多いので改めて勉強中です。かなり盛況で80人ぐらいは参加者がいました。用意された椅子だけでは足りず、満員御礼状態だった。これは、WebLogicエンタープライズ用途としては以前からメジャーな APサーバだったことに加え、OracleOAS を捨てて WebLogic に一本化しようとしているという戦略も絡んでいるのかもしれない。むかし OAS を使っていたシステムは、サポートが切れるタイミングで WebLogic で改修せざるをえなくなる可能性が高い(いっそフリーのAPサーバとかに変えてしまう、という選択肢もあるけど)。

 今回参加して一番強く持った感想は、「やはりOracleは本当に WebLogic + JRockit の組み合わせで押すつもりなのだなあ」ということでした。講師の方々もほぼ JRockit 前提で話を進めていて、Sun JVM は、よほど大きな方針転換がない限りフェイドアウトするのだろう、という印象を強く持ちました。Red Hat が 5.3 から Sun JVM のサポートをやめて Open JDKスイッチしたのも、一部にはこの「Sun JVM は危うい」という理由があるのかもしれません。

 もっともそうはいっても、Sun JVM は一番の老舗ですし、これの上で動くことが前提のAPは多いので、Oracle がいくら JRockit推してもそれだけですんなり一本化はしないでしょう。これまでむしろ JRockit のほうがどちらかというと「WebLogic 専用 JVM」だった。下手をすると、WebLogicJRockit しかサポートしません、でもその上の AP は Sun JVM しかサポートしません、という悪い冗談のような事態が出来しかねない。

 そもそも、JVMJava)の基本理念の一つは、下層のプラットフォームがどれだけ違っていても、JVM でその違いを吸収することで上の AP を移植可能にすることでした。もちろん、JVM にも標準規格を定めることはできるし互換性のテストもそれぞれのベンダーは行うでしょうが、AP と JVM の間には相性の問題があるし、サポートのない環境でリスクを引き受けるかどうかの判断も必要になる。ちょうど ODBC という標準規格がありながら、それでも ODBC ドライバはベンダー固有のものを使わないといけなくて、上で動く AP も結局ドライバに縛られてしまう、というのと似た状況が起きるかもしれません。面倒だなあ、というのが SIer としての正直な感想。

 それにしても買収を次々に仕掛けると WebLogic <-> OASJRockit <-> Sun JVMOracle DB <-> MySQL と、キャラのかぶる商品が増えて大変です(これ以外にも細かいところでOracleは結構かぶる商品を抱えてる)。整理が買収のスピードに追いつかなくて「中の人たち」も混乱してしまうだろうな。