センター試験にも抽選を

 本日でセンター試験も終わり、受験生の皆さんは、今はとりあえず終わった脱力感と、出来栄えを心配する不安な気持ちがないまぜといったところでしょうか。

 このセンター試験の仕組みについては、私は毎年同じ文句を言っているので、「また吠えてるよ」と思う人もいるでしょうが、懲りずに今年も繰り返します。

 まず、なぜ体調を最も崩しやすい真冬にやるのか。年度の区切りにあわせるとこの時期が自然なのでしょうが、受験生の側から見たら嫌がらせとしか思えない。インフルエンザにかかったり、体調を崩して力を発揮できなかった学生は、目もあてられません。

 こういうことを言うと、「きちんと体調管理できているかも測っているのだ」という反論を受けることがありますが、もし体力や健康状態を見たいなら体力測定と健康診断も科目に入れればいいだけのことです。流行の風邪は、どれだけ気をつけたって運が悪いときにはかかる。真冬の試験は、ただの運試しにしかなっていない。

 もし強運な学生を採りたいなら、試験に抽選も入れればいいのです。別に冗談で言っているわけではありません。試験プロセスに抽選を入れている学校は少なくありません。私もむかし受験のとき、抽選クジを引きました。ペーパーテストに合格した受験生を講堂に集めて、一人ずつクジを引いていくのです。そして最後にその場で当選者(「合格者」と呼ぶのはためらわれる)が発表される。私の隣に座っていた男の子はこの抽選で落ちて、がっくり肩を落として帰っていきました。当時も残酷な方法だと思ったけど、今思い出してもやっぱり残酷だ。でも、子供に「社会で成功する要素は努力より運である」という信憑を植えつけたいなら、やればいい。これはその手段としてかなり有効な制度です。私は自分の経験からそう思う。

 アメリカの SAT(大学進学適性試験)は、年に7回受験するチャンスがあって、季節も1月、5月、7月、12月とバラバラなので一番体調のいい時期に受けられます。回数が増えると運営費もそれだけかかりますが、受験生の負担は 45ドル、大体一回につき 5000 円です。

 日本でも定着している英語テストの TOEIC もこれと同じ方式です。しかもセンター試験と同じマークシートで、リスニングもやっていて、ちゃんと運用できている。運用ノウハウを教われば実現が可能でしょう。