増税カモーーーーン!

 3日の衆院予算委員会で仙石大臣はじめ閣僚の何人かが「法人税引き下げが望ましい」という意見を表明しました。これは非常にまともな認識なので、複数の閣僚がこういう認識を持っているというのは勇気付けられることです。

 日本の法人税OECD 加盟国の中でも高水準で、同じアジアの台湾や香港との租税競争では勝ち目がありません。税収全体に占める割合で見ても、日本の 20%強という数字は、先進国の中でぬきんでています。今、この高率の法人税が企業の海外流出を加速し、成長戦略の妨げになっている、というのが仙石氏らの認識です。

 また、法人税のもう一つの問題は、課税の根拠が薄弱なことです。法人税を払っているのは社員や株主や消費者なので、法人というレベルでの課税には正当性がない。相続税のように機会均等を担保するという思想的な正当性にも欠けます。私たちは「会社」という実体が人間と同じようなレベルで存在すると思いがちです。でも、ウィトゲンシュタインが言ったように、ある言葉が作られると、私たちはあたかもそれに対応する実体が「最初から」存在していたかのように感じるだけで、実際はそれはただの勘違いであることが、往々にしてあるのです。

 法人税を引き下げることによる税収減を補うため、代わりに増税が検討されているのは、消費税と所得税です。私はこれも正しい選択だと思います。いずれ大幅な増税は避けられないのだから、やるなら早く始めて平準化したほうが、痛みは少なくてすみます。消費税は逆進的なので、所得税とうまく組み合わせないと金持ち優遇という不公平感が生まれるので注意が必要ですが、消費税には所得税と違ってとりはぐれがないという利点がある(所得税は一番脱税がしやすく、毎年税務署 VS 脱税者のバトルが繰り広げられている)。政府も消費税のこの確実性の高さに期待しているのでしょう。

 普通、政府は増税の「ぞ」の字を出しただけで選挙で負けやしないかと怯えて、なかなか増税できませんが、今の民主党政権は、最近やや失速気味ながらも高い国民からの支持を得ているので、増税を打ち出せるだけの体力がある。頑張っていただきたい。