理事長の旅行記:はいむるぶし(沖縄県 小浜島)

 今年の夏休みも例年通り南の島に行ってきました。今回行ったのは沖縄県小浜島という離島(Google Earth)。石垣島西表島の間に位置する小島です。私は見たことないのだけど、「ちゅらさん」というドラマの舞台にもなったそうです。

 泊まった宿ははいむるぶし。以下、なるべく事実に即して感想を書いてみます。これから行こうと考えている方は参考にしてください。


【交通】
 小浜島へ飛行機で直行することはできないため、必ず石垣島を経由する必要があります。石垣空港へは羽田から直行便が出ているので、うまくこれをつかまえると、那覇空港をスキップできます。石垣港からはフェリーで30分ほど。宿まではさらに送迎バスで10分ほどです。東京からの総時間は、3〜4時間程度。当たり前だけど海外に比べたら全然楽チン。私は羽田に前泊してAM6時の便に乗ったのですが、午前中に着いて疲れもなかったので、さっそく当日の午後から沖に出て泳ぎました。


【気候】
 気温30度前後で湿度も高いため、体感的に非常に暑く感じます。夜になってもあまり涼しくならないため、長袖が必要な海外の南島とは違い、常にTシャツ短パンが正装。梅雨が明けていて好天続きだったこともあるでしょう。そのおかげで海の水温も暖かく、泳ぎやすい気候ではありました。ただし、風はけっこう強く吹いており、外海は波もそれなりに高かった。


【島内の施設】
 一言でいうと何もないです。コンビニ、銀行、レストラン、食堂、病院など一切無し。診療所はあると聞きましたが、おそらく本格的な治療を受けようと思ったら隣の石垣島まで行かねばならないでしょう(石垣市八重山諸島の中心地なので一通りの施設があります)。そういう目的の人はそもそも来ないだろうけど、ショッピングは無理です。


【海】
 ホテルにもビーチはありますが、サンゴもなく魚もいないので、サーフィンなどマリンスポーツをするのでなければ利用する価値はありません(ホテルの FAQ にもそう書いてあります)。シュノーケルやダイビングをしたいなら、アクティビティに申し込んで外海へ出る必要があります。

 外海のサンゴ礁の質は、ポイントによるという感じです。初日に行ったときは子供も一緒だったため、簡単なポイントであまり面白くなかったのですが、二回目は客が私一人しかいなかったので、あちこち面白い地形のポイントを巡ってもらい、とても楽しかった。魚は海外の海に比べると全般に小振りでかわいいのが多いです(カクレクマノミもいた)。これは餌付けしていないから、という理由もあるようです(餌付けすると、餌を食べられる強く大きな魚ばかりになるそうな)。しかし、全般に魚量はそれほど多くなく、ボラボラ島のように「魚が多すぎて視界がホワイトアウト」というほどのお魚祭りではなかった。

 インストラクターのお兄さんの話によると、八重山諸島のさんご礁は、90年代に一度かなり白化現象が進みダメージを受けたのですが、ここ10年で少しずつ回復してきているとのこと。確かにところどころに死んで白くなったサンゴも見られました。

 なお、私が行ったときは風がやや強く(2.5 〜 3mほど)、波が少し高く流れも速かったので、泳ぐときはくれぐれも流されないよう注意しましょう。水温は晴れていれば暖かく、非常に泳ぎやすいです。一日だけ曇っている日があって、その日は水が冷たかった。


【ホテル】
部屋からの眺め
 ホテルの敷地は非常に広く、レンタルのランドカーがないと移動はしんどいです。これは必ず借りましょう。宿泊プランによってはランドカー込みになっているものもあるので、そういうのを利用するのも良いでしょう。

 従業員の人たちは皆テキパキした応対で親切でした。少なくとも昨夏行ったル・タハアみたいな「どっちが客か分からん」という扱いは受けなかった。

 携帯の電波はソフトバンク、ドコモの両方が入ります(ホテルの FAQにはソフトバンクは入らないと書いてありますが、実際は入りました)。au も電波塔があるので OK とのこと。また、ロビーに限って無線 LAN が使えます。フロントの従業員の人たちは iPad を使って部屋の説明をしていて、「お、先進的!」と思った。確かに iPad は電子パンフレットとして便利ですよね。

 部屋は広く清潔で、特に目に付く不満はありませんでした。ただ、部屋に置いてあるNespressoでコーヒーも飲めるのですが、ベッドメイクのときにこれの掃除と補充をしないことに驚いた。好意的に推測するに、離島であるがゆえの物資不足があるのでしょう(掃除しないのはそれとは別問題だけど)。この物資不足は、次の「食事」でいっそう顕著に現れます。


【食事】
レストランからの眺め
 このホテルで平均以下の点数を付けねばならないのが、食事です。不味いわけではないのだけど、美味しくもない。私の率直な感想は「これなら大戸屋のがうまいな」というもの。実際、東京に帰ってすぐに大戸屋に行って比べてみたのだけど、間違いないと思いました(大戸屋がない地域の方、分かりにくくてすいません。適宜、近所の美味しい定食屋と置き換えて読んでください)。ディナー 4000 円からとなると、コストパフォーマンスに見合わない。朝食と夕食のビュッフェも毎日同じメニューで、お昼はその残りを使いまわしていると思われるような内容。

 数日滞在するとさすがに代わり映えがなく飽きてくるので、「ルームサービスで軽く済まそう」と思って頼んでみると、なんとルームサービスがない。理由を聞いてみると、食中毒防止のため、レストラン以外で食事は出さない方針だという。ルームサービスのないホテルって、私は初めて見たのだけど、南国では一般的なんでしょうか? 海外のホテルは暑くても平気でルームサービス届けるけど、あれは湿度が低いから出来ることなのでしょうか? ここは私には真相が分からない。

 このようにホテル「はいむるぶし」は食事が弱点なのですが、その評価は他の掲示板やブログでも見たので、私一人のものではないようです。理由を推測すると、二つ挙げられます。まず一つは、先述のように離島ゆえの物資不足。現地の人から聞いた話では、食材はほとんど石垣島経由で「輸入」する必要があるため、割高なうえ量も種類も限られてしまうそうです。また、腕の良い料理人を確保するのが難しいという人的資源の問題もあるのでしょう。

 もう一つは、島内に他に食事できるレストランなどの「ライバル」がなく、独占状態のため競争がないこと。実際、はいむるぶしがどれだけ値段を高く設定しても、宿泊客にはホテル内で食べる以外に選択肢がない。これでは、サービスを向上させる動機が消せてしまいます。ある意味、市場の失敗の実例かもしれない。

 なお、滞在中、私が唯一とても美味しいと思ったのが、ロビーのカフェで飲める黒糖ラテ。これはコクと甘みが素晴らしいので、行った人は一度お試しあれ。この味を再現しようと思って、お土産で買った黒糖シロップを使って自分でも作ってみたのだけど、全然及ばない。


【総合】
 食事を除けばいい宿だと思います。リピートの意思は今のところなし。