新著が出ました『SQL 第2版 ゼロからはじめるデータベース操作』

先週、新著『SQL 第2版』が刊行となりました。新著といっても、2011年に発売された書籍の改訂版で、DBSMの最新バージョンに合わせて構文の変更を見直したのと、アプリケーション(Java)からデータベースに接続してSQLを実行する方法について解説する新章を追加したのが主な変更です。初版で勉強した方が今から買いなおす必要はありませんが、これから買う方は2版の方をお求めいただければと思います。読者対象者のレベルとしては、初版と変わらず、データベースやSQLについてまったく知識がないという初心者の方を対象にしています。

以下に前書きを掲載するので、購入する際の参考にしていただければと思います(「★ ★ ★」以降が2版の追加部分)。

 本書は、プログラミングやシステム開発の経験がまったくない初心者の方々を対象に、リレーショナルデータベースおよびそれを扱うための「SQL」という言語の使い方を解説する書籍です。各章では具体的なサンプルコードを中心に解説を行ない、章末には理解度を確認するための練習問題も用意しています。第1章から順に自分の手でサンプルコードを試しながら読み進めることで、自然とSQLの基礎とコツをマスターできる構成になっています。また、特に重要なポイントは「鉄則」としてまとめているため、本書の内容を一通り理解した後はリファレンスとしても活用できるでしょう。

 近年、データベースという分野は、ほかのシステムの分野もそうであるように、急速な進展を見せています。新しい機能を持つデータベースが登場し、扱われるデータ量も飛躍的に増大するなど、その応用範囲を大きく広げています。

 本書が扱うリレーショナルデータベースは、現在最も主流のデータベースであり、それゆえほかのデータベースを理解するうえでの基礎ともなります。その重要性は、通常、システムの分野で「データベース」と言えばリレーショナルデータベースを指す、という事実からもわかります。

 皆さんの中には、これからさまざまな分野、規模のシステム開発を経験することになる方が多いでしょう(あるいはすでに開発に従事している方もいるかもしれません)。その際、データベースが使われていないシステムというのは、まず考えられません。そして、そのシステムで使われているデータベースは、きっとリレーショナルデータベース、あるいはそれを基礎とするデータベースです。これが意味することは、リレーショナルデータベースと(そのデータを操作する)SQLをマスターすれば、どんなシステム開発でも応用が利く“データベースのスペシャリスト”になれる、ということなのです。


                       ★ ★ ★


 本書の初版が刊行されてから6年が経過しましたが、その間、データベースの社会的な重要性は高まる一方でした。以前から、データベースを用いた統計的な分析は専門家の間では行なわれていましたが、それをきわめて大規模なデータに適用してビジネス全般の改革に応用しようという大きな潮流が起こりました。その動きを象徴する「ビッグデータ」や「データサイエンス」という言葉も、システムの世界にとどまらず、社会全体に広まりました。統計解析は、人工知能と並んで今後の社会のあり方を決定する要因だという意見すらあります。

 一方で、データベースの世界でも技術的な革新が行なわれてきました。KVSに代表される非リレーショナル型のデータベースの利用は、もはや珍しいことではなくなりました。また、大規模データを処理するためのパフォーマンスを追求するために、インメモリデータベースやカラム指向データベースの技術も大きな進展を見せており、実用化が進んでいます。

 その一方、変わらなかったこともあります。それは、データベースの主流が、やはりリレーショナルデータベースであることです。その意味で、リレーショナルデータベースと、それを操作する言語であるSQLの習得が、データベースの世界を究めていく最初のステップであることも、いまでも変わらぬ事実と言えます。しかしそれは、リレーショナルデータベースとSQLが進歩していないわけではありません。多くのDBMSがウィンドウ関数やGROUPING演算子(いずれも第8章で解説)をサポートし、大規模データを効率的に処理するための機能を充実させてきました。SQLをマスターすることで、自由自在にデータを扱い、効率的なシステムを構築することができるようになるでしょう。

 本書もまた、そうした動向にあわせてバージョンアップを行ないました。代表的なDBMSの新しいバージョンでのSQL構文のサポート状況にあわせて記述をアップデートするとともに、アプリケーションからデータベースを利用する方法をテーマとした第9章を新たに追加しています。

 本書が、皆さんのステップアップの糸口として役立つこと、そしてデータベースという分野の面白さを伝える一端となることを、心から願っています。

 なお、現在もう一冊書籍の準備をしており、おそらく今年中にお目見えすることになると思います。こちらはうってかわって上級者(というかマニアック)向けです。こちらも楽しみにお待ちいただければと思います。