「SQL緊急救命室 第4回」が Web 公開されました

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技術評論社のサイトに「SQL緊急救命室 第4回」 今回のテーマは「スーパーソルジャー病」です。優秀なプログラマが陥りがちな間違いの一つが、難しすぎるコーディングをすることです。もちろん高度なコーディングが必要とされる局面はあるのですが、テーブル…

世界の DQN ネーム事情

The Economist の記事より。("Baby names") DQNネーム、あるいはキラキラネームと呼ばれている名前があります。子供に付けられる、奇抜で読みにくいことを特徴とする名前のことで、大熊猫(ぱんだ)君とか今鹿(なうしか)ちゃんとか、結構な破壊力を持つ名…

公共事業としてのセンター試験

先週の土日はセンター試験でした。受験生にとっては人生を左右する 2 日間だったでしょうが、センター試験というのは、見方を変えると巨大な公共事業という側面を持っています。受験生から集める受験料(検収料)だけでも毎年 100 億前後にのぼり、多くの人…

ヨドバシカメラとアップルストアの違い

The Economist の記事より。("The cost of a free ride") 皆さん、ネットショッピングはするでしょうか? する、という人たちにお聞きしたいのですが、こんな行動を取ったことはないでしょうか。 まず、下見をするために、実物を置いてある店舗まで出かけて…

人に本当のことを言わせる方法

昨年の大晦日、オウム真理教の特別手配犯になっていた平田信容疑者が警察に出頭するという事件がありました。このときの経緯は、平田容疑者は警察に出頭するも、イタズラだと思われてなかなか本人だと信じてもらえず、たらいまわしにされるという喜劇的なも…

フリーライダー化する女性たち

職場に女性が進出するようになって以来、出産・育児休暇を取得する女性の職場での処遇というのは、常に論争の的です。特に、企業は規制によって出産を理由に解雇することができないため、女性には制度を悪用してフリーライダーになるインセンティブがあるの…

階級社会アメリカ

New York Times の記事より。("Harder for Americans to Rise From Lower Rungs") 日本はいま、階層が二極化しているだけでなく、階層が固定化される社会に向かっていると言われています。親が貧乏だと、子供も満足に教育を受けられず貧乏なまま人生を終え…

江戸時代のオリンパス

この時期の定番ドラマのひとつに『忠臣蔵』があります。主君の名誉を守るため、政敵の家に押し入って敵討ちを果たして、最後は全員切腹するという、元禄赤穂事件を題材にした日本人なら誰でも知っている物語です。この特異な物語にひきつけられるのは日本人…

掛け算論争について

大手小町風に言うと(駄)なエントリです。年末で暇をもてあましている人向け。 ここ数日、Twitter のタイムラインに流れてきている掛け算論争。断片的なツイートを追いかけただけでも、瑣末な問題、という印象をぬぐえないのですが、小学校時代に算数で味わ…

話しあっても分かりあえないときはブロックしよう:東浩紀『一般意志2.0』

「ブロックせずに他者と渡り合うのが正義」というリベラルな思想は現実性の乏しい理想論というのがぼくのツイッターの見方で、そして一般意志2.0の主張でもある。――東浩紀(2011年12月23日にTwitterで) 本書は、ルソーとフロイトの思想を Google や Twitter…

『Web+DB Press Vol.66』「SQL緊急救命室 第5回」

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『Web+DB Press Vol.66』に「SQL緊急救命室 第5回」が掲載されました。今回のテーマは、「時代錯誤症候群」。 標準 SQL は数年に一度改訂が行われており、大幅に新機能が追加されていきます。そして SQL の改訂の仕方というのは、他の言語と違って、古い構文…

『Economist』:イランの市場原理主義

今年の6月、重い腎臓病を抱えた堀内利信医師が暴力団から腎臓を買ったという事件が起きました。テレビをはじめマスコミでも大きく取り上げられたので、記憶されている人も多いと思います。 日本では臓器売買は違法なので、その点で法を犯した医師の行為は咎…

その数学が勝負を決める:『マネーボール』

評価:★★★★☆ セイバーメトリクスという野球の戦術をご存知でしょうか。いや、戦術と呼ぶのは誤解を招くかもしれません。セイバーメトリクスは、送りバントやヒットエンドランのような、野球の試合中に仕掛ける個々の行為ではないからです。むしろそれは、チ…

『WEB+DB PRESS 総集編 [Vol.1〜60]』

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技術評論社の『Web+DB Press』がめでたく 10 周年を迎え、総集編記念号が刊行されました。その中で「Topエンジニアが伝えたいこと」というエッセイ集の企画が組まれており、私も「データベースを動かす二つの力」というタイトルで寄稿させていただきました。…

新聞休刊日の謎、あるいは非情緒的な村上春樹の疑問

Twitter で「新聞休刊日が全紙同日休刊なのは妙だ。談合でないか」という趣旨のツイートをしたところ、かなり多くの方からコメントをいただきました。そんなに世間で関心の高い話題だとは思わなかったので、意外に思いましたが、よく考えれば身近な割に、そ…

「SQL緊急救命室 第2回 冗長性症候群」

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技術評論社のサイトで「SQL緊急救命室」が公開されました。 今回の病気は「冗長性症候群」。これは非常にポピュラーな病気です。なぜかというと、手続き型言語でプログラミンを勉強したプログラマが一度は必ず通る「はしか」みたいなものだからです(最近は…

借金を返さないと何が起こるか:ラインハート=ロゴフ『国家は破綻する』

政府は少なくとも 100 年に一度は、財政均衡を回復するためにデフォルトを起こさなければならない。――アベー・テレ(18世紀のフランスの蔵相) 向こう見ずな個人が借金に借金を重ね、債務を膨れ上がらせると、まず最初に、貸し手がいなくなります。新しい貸…

借金はどうやって返せばいいか

日本の政府債務は、943兆円強(2011年6月末時点)と、近く 1000 兆円を突破する勢いで増え続けています。また新しく首相になった野田氏はかつてから財政タカ派として知られており、増税による財政健全化に意欲を見せています。いよいよ大増税次代の到来が近…

科学の立証責任:あなたは天空のティーポットを信じますか?

3月11の福島第一原発の事故以来、放射能が健康に与える被害というのは、日本人(特に東日本に住んでいる人)にとって避けられない関心事となりました。私も知り合いに聞いた話では、柏市や松戸市といったホットスポット地域に住んでいる人たちの中には、本当…

『Web+DB Press Vol.64』「SQL緊急救命室 第3回」

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『Web+DB Press Vol.64』に「SQL緊急救命室 第3回」が掲載されました。今回のテーマは、「ループ依存症」。 ループというのは強力な道具です。これを使わずにコーディングしろ、と言われたら、ほとんどのプログラマはお手上げでしょう。でも、リレーショナル…

コンピュータをぶっ壊せ:新井紀子『コンピュータが仕事を奪う』

前回に引き続き仕事について: ここ数年、というかもう十数年、日本の経済についてはあまりいいニュースがありません。震災の影響は別にしても、その前から日本は長期停滞街道を驀進しており、私のような団塊ジュニア世代ともなると、十代の頃から不況しか知…

なぜ日本人はサービス残業が好きなのか:速水融『歴史人口学で見た日本』

日本と欧米の産業構造の比較をしたとき、両者の差として指摘されることに、前者は労働集約的で後者は資本集約的、というものがあります。平たい言葉で言うと、コストに占める割合として、人件費(労務費)が高いか、固定資産費(設備費)が高いか、という違…

『Web+DB Press Vol.63』「SQL緊急救命室 第2回」

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『Web+DB Press Vol.63』に「SQL緊急救命室 第2回」が掲載されました。今回のテーマは、「冗長性症候群」。ムダの多いコーディングスタイルとして、SQLにおける条件分岐を UNION で行ってしまうケースについて取り上げています。 手続き型言語における条件分…

暴力団の資金源を絶つ方法

腎不全を患っていた東京の医師が、暴力団から腎臓を買ったとして逮捕されたニュースが報じられました。 闇での臓器売買に暴力団が関与している(いわゆる「しのぎ」にしている)ことは、周知の事実なので、今回の事件にはその点に関する新味はありません。し…

原発は本当に安価なエネルギーか

先週、イタリアでは原発再開の是非を問う国民投票が行われ、反原発票が 9 割を超える大差で否決されました。これに対しては、反原発というより反ベルルスコーニ政権の気運が高まったことを示すという評価もあるようですが、ともあれ、ドイツに続きイタリアも…

『Economist』:愛と法

2006 年 2 月 19 日、キミコとテツオの夫婦は、大阪のラブホテルにチェックインした。二人は鎮静剤を大量に飲み、手首を切ったが、真夜中に覚醒し、自殺が失敗したことに気づく。テツオはキミコの要求に従って、彼女の首を絞めた後、再び手首を切り、首をつ…

ダブルスタンダードの功罪

先月末、高木浩光氏のブログエントリ「ウイルス罪について法務省へ心からのお願いです」で、気になるニュースを見かけました。現在国会で審議されている「ウィルス作成罪法案」の内容について、江田法務大臣が、「バグの存在を知りつつ放置した場合」にも違…

また勝ってしまったか:『Economist』「エイズの終焉?」

今週の『Economist』誌の巻頭記事は、エイズについて。この史上最大の敵に対して、人類は遠からず勝利を収めるであろうという、明るい見通しを伝えています。 1981 年 6 月 5 日、米ロサンゼルスの医師たちは、ごく稀にしか見られないタイプの肺炎が大流行し…

政局はシステムが作り出す

内閣不信任案は大差で否決され、当面は菅内閣が続投するものの、任期中の首相が「辞任」を約束するという、日本らしいといえば日本らしい折衷的な決着を見ました。このタイミングで政権を交代するはっきりしたメリットが見出せない以上、この決着はシナリオ…

石原莞爾と杉原千畝

日本企業、特に大企業についてよく指摘されることに、「現場は優秀で上層部は無能」という特徴があります。半ば自虐的なジョークとして大企業の社員自らが「ネタにする」こともしばしばです。この感覚は、日本の組織で働いている人の間ではかなり広く共有さ…