真冬の運試し

 と言っても、元旦のおみくじのことではありません。私は既に大吉をゲットしており、この件に関して言うことはありません。そうではなく、いま正に佳境を迎えつつある受験のことです。私立一本とか推薦の方々はもう勝ち組みでやっほーでしょうが、国公立狙いの方々は追い込みお疲れ様です。

 去年も同じこと書いてますが、今年もより一層大きな声で繰り返します。冬に受験を設定するのは間違っています。風邪とインフルエンザが暴威を振るい、交通機関も止まりやすいこの時期に、何がかなしくて人生を決める一発勝負を強制されねばならないのですか。

 もともと、この時期に受験が設定されているのは4月から学校が始まるからですが、じゃあなぜ4月から学校が始まるかというと、明治時代に役所のカレンダーと合わせたのが起源です(マッツァリーノ『日本列島プチ改造論』p.49)。特に学生の事情を汲んでのことではありません。欧米では学校は9月から始まるので、受験シーズンは気候温暖な5〜7月に設定される。それで一体、今より不幸になる人がいますか。

 中には「体調管理も実力のうちであり、大事な時期に風邪をひくたるんだ精神の持ち主は既に落ちたも同然である」という精神論をぶつ人もいますが、健康状態と体力を測りたいなら、昔の兵役検査のように健康診断と体力測定を受験科目に入れればいいだけの話です。ネチネチと暗黙に強制する必要などどこにもありません。それなのに精神論派の人々からそういう意見が出ないのは不思議です。そもそも、どれほど体調管理を厳しくしようとも、風邪をひくときはひくし、体調を崩すときは崩すのです。それに生まれつき体の弱い子ほど、厳しい季節は不利になる。

 実力差を最も厳正に審査する必要のあるプロスポーツの世界では、多くの勝負(試験)が複数回試行されます。リーグ戦やペナントレースがそうですし、陸上競技だって何度もトライして最も良いスコアを使うことができる。人並みはずれた集中力を持つスポーツ選手ですらそうなのです。私たちパンピーが一発勝負を強制されるいわれなど、どこにも無いのです。いずれ社会に出れば学生の皆さんも気付くと思いますが、人生というのは恐ろしいほどの長期戦です。受験は前半の山場かもしれないけど、本当の正念場はもっと後に何度でもやってくる。

 まあでもその話はまだちょっと早いので、忘れてくれていいです。とりあえず、当日体調不良で思うような力を発揮できなかったとしても、それは決して君だけのせいではない、ということは、覚えておいてください。この国のイケてないところが出てしまったのだよ。