2010-01-01から1年間の記事一覧

『WEB+DB PRESS Vol.60』「DBアタマアカデミー 第4回」

DB

『Web+DB Press』Vol.60 に「DBアタマアカデミー 第4回」が掲載されました。今回のテーマはクエリ・プランナ(特にオプティマイザ)の仕組みと実行計画についてです。これまでも折にふれて述べてきましたが、リレーショナル・データベースの理想は、ユーザが…

恋人たちのクリスマス

本日はクリスマスでした。私みたいなおっさんともなれば、全く無関係な温泉に出かけるという自由な技も繰り出せるのですが、カップル化の社会的圧力をもろに被る若い諸君にあっては、イブからの 2日間をどのように過ごすかは、結構な悩みごとだったことでし…

経験主義は死なず:ナシーム・タレブ『強さと脆さ』

「先賢の教え」という言葉があります。色々な経験を積んできた年長者は、若造が持ち合わせていない知恵や技術を持っている。砕けた言い方をすると「お婆ちゃんの知恵袋」です。リーマン・ショックを予測した金融界の鬼才タレブが勧める生存戦略は、「お婆ち…

神の見えざる脳:ジェームズ・スロウィッキー『「みんなの意見」は案外正しい』

集合知という概念は、現在では非常にポピュラーなものになりました。特にインターネット上では、ユーザがコンテンツ作成のプロセスに関与する Web2.0 の仕組みを正当化する重要なアイデアです。そして実際、集合知がかなり機能することも、多くの事例から実…

人生は大学まで待ってからでも遅くはないと思う

学校におけるいじめというのが、いつから存在しているのか知りませんが、たぶん学校制度の成立時からあったのでしょう。いじめが全国的に大きな問題として受け止められるようになったきっかけは、中野富士中学や愛知県西尾市中学で起きたいじめによる自殺事…

『WEB+DB PRESS Vol.59』「DBアタマアカデミー 第3回」

DB

『WEB+DB PRESS Vol.59』に「DBアタマアカデミー 第3回」が掲載されました。今回のテーマはバックアップ/リカバリ。DBに限らず運用と信頼性設計のときには避けては通れない分野です。その意味で、DB に限らず広い範囲に応用できる内容になっていると思いま…

『Economist』:普遍的価値をめぐる闘い

中国の民主活動家、劉暁波氏へのノーベル平和賞授与決定に際して、中国がノルウェーに対抗措置を取ったことは、改めて、中国が西欧的な社会原理を簡単に受け入れるつもりがないことを、世界に示しました。自由、民主主義、人権 ―― こうした西欧由来の概念は…

すべてを白日のもとに曝そう

知ってる人は知っているかもしれませんが、私の仕事はシステム・エンジニアです。その中でも特にデータウェアハウス(DWH)という分野が、一応の専門ということになってます。これは、沢山のデータをドカンとデータベースにつっこんで、それを色々ひねり回し…

雇用創出の画期的方法

昨日のエントリで書いたエコカー補助金の話に、ちょっとだけ補足を。 補助金制度は先月で終了しましたが、エコカー減税の方はまだ続いています。TV コマーシャルでも、各社とも「まだ減税が残っている!」と連呼しているのでご存知でしょう。 ところで皆さん…

『Economist』:エコカー増税

先月末で終了したエコカー補助金は、もともと環境保護対策というより、業績悪化に苦しむ自動車業界の救済措置という性格の強いものでした。直嶋経産相が「リーマン・ショック後の異例の措置」と認めるように、自動車業界が好調であれば実施されなかったであ…

不公正な初期財産

氏か育ちか(nature and nurture)という問題は、洋の東西を問わず、常に論争の的になってきたテーマです。私たちの能力や性格といった資質はどうやって決まるのだろう。そしてそれらが絡み合って形作られる人生というのは、究極的なところ何によって決定さ…

「DBアタマアカデミー」第2回が Web 上で公開

DB

「DBアタマアカデミー」第2回が Web で公開されました。テーマはトランザクションの仕組みについてです。

『Economist』:仕事、楽しんでますか?

最近では、多くの企業が楽しさの強迫観念にとり憑かれている。シリコンバレーのソフトウェア企業は入り口にロッククライミング用の壁を設置し、オフィスには動物型のゴム風船を置いている。ウォルマートは、レジ係に誰彼なく笑いかけるよう命じている。この…

エルスバーグの呪い

おととい見た映画『悪人』の感想を、もう少し。 実を言うと私は、この映画を見ている間ずっと、苛立ちを感じていました。祐一も光代も、そんなに田舎暮らしが息苦しいなら、さっさと違う土地に出てしまえばいいのに、と思ったからです。二人はまだ20代。十分…

怒りと響き:『悪人』

映画『悪人』を観てきました。世評に違わずウェルメイドな作品でした。複数視点からの描き分けも洗練されていたし、深津絵里の地味さには驚いた。ここまでオーラを消せる主演女優というのも凄い。受賞も納得です。 この映画の宣伝のキャッチコピーは「誰が本…

踏み込みの甘い男たち

昨日で 9.11 から9年目を迎えました。今年は同時テロ現場付近にモスク建設計画が持ち上がったり、それに対してコーランを燃やすパフォーマンスを行う牧師が場所変更の取引をおこなったり(最初からそれが目的だったとしたら大した策士だ)、例年以上にアメリ…

あの輝きをもう一度:小沢一郎『日本改造計画』

日本の政治家の書いた本はつまらない、とよく言われます。論旨不明瞭でどんな政策を訴えたいのか分からない、脈絡のないエピソードの継ぎ合わせだ、と。しかし、政治家の本にも、読んで面白い例外が二冊あります。それが、著者の師である田中角栄の『日本列…

言語は次元を超えることができるか:小山宙哉『宇宙兄弟』

昨日、漫画の『宇宙兄弟』を読んでいたら面白いことが描いてありました。この物語は、宇宙飛行士を目指す兄弟の成長を描くビルドゥングスロマンなのですが、私が面白いと思ったのは、主人公の六太が JAXA の飛行士試験を受けるときのワンシーンです。TV で塩…

1分で分かるリバタリアンとコミュニタリアン

昨日の続き。こんな小話を思いついた。 殺人犯の子供が小学校に通っていたとして、「お前の親父は人殺しー」と言って石を投げるのがコミュニタリアン。「やめないか、子供に罪はない(キリッ」と言って間に割ってはいるのがリバタリアン。

白熱教室 IN Japan に行ってきた。

本日は、NHK の「ハーバード白熱教室」で日本でも大ブレイクしたサンデル先生による特別講義が行われました。私も抽選で当たったので会社を休んで東大まで行ってきました。 ざっと見た感じでは、聴衆は半分以上は学生さん。東大枠が500人程度あったそうなの…

『WEB+DB PRESS』Vol.58「DBアタマアカデミー 第2回」

SQL

技術評論社の『Web+DB Press』Vol.58 に「DBアタマアカデミー 第2回」が掲載されました。前号は特集を担当したので、一回空いて、今回が第2回です。 テーマはトランザクションの概念について。この概念は、日々私たちも当たり前のように使っていますが、改め…

論理はいかにして空気に敗れ去ったか:猪瀬直樹『昭和16年夏の敗戦』

かつて、日本の皇室が同時に二つ存在していた時期があることは、広く知られています。南北朝時代と呼ばれる50年ほどの期間で、歴史の授業で習うので皆さんもよくご存知でしょう。では、日本に内閣が同時に二つ存在した時期があることは、知っているでしょう…

育児放棄権

最近大阪で起きた幼児虐待事件は、母親の身勝手な行動と二人の子供が死亡するという最悪の結果によって、大きな衝撃をもって受け止められました。 この問題について、「理解できない」などと言って母親の無責任ぶりを責めることは容易ですが、その態度からは…

共働き夫婦の生きる道:『ちょんまげぷりん』

本日は朝から有楽町のイトシアで映画『ちょんまげぷりん』を観てきました。ともさかりえのシングルマザーSEの好演が光る、よくまとまったコメディーでした。錦戸君は以前見たときはゾクゾクする DV 野郎の役が素晴らしかったけど、清廉な武士も似合っていた…

「DBアタマアカデミー」第1回が Web で公開

DB

技術評論社のサイトで DB アタマアカデミーの第1回が公開されました。この連載では、DBMS のアーキテクチャについて解説していますが、まずはバッファと記憶装置について取り上げています。 今回もっとも重要なことは、最初のマンキューの言葉に尽くされてい…

過剰な世界の倫理学:堀江貴文『拝金』

奢侈、浪費、淫乱 ―― そして拝金。歴史上ほとんどの期間のほとんどの場所において、こうした人間が持つ強欲やエゴイズムは、倫理的に非とされてきました。人類はその生活の 99% の時間を圧倒的な欠乏の中で生きてきたため、私たちの「古い脳」には節制や禁欲…

理事長の旅行記:はいむるぶし(沖縄県 小浜島)

今年の夏休みも例年通り南の島に行ってきました。今回行ったのは沖縄県の小浜島という離島(Google Earth)。石垣島と西表島の間に位置する小島です。私は見たことないのだけど、「ちゅらさん」というドラマの舞台にもなったそうです。 泊まった宿ははいむる…

リベラルからの挑戦状:マイケル・サンデル『これからの「正義」の話をしよう』

先月、菅首相が就任演説を行った際、目指すべき社会のスローガンとして「最小不幸社会」という言葉を使ったことは、記憶に新しいところです。ただ、それが具体的にどのような社会なのか、詳しい説明がないので、中身は推測するしかありません。 最小不幸社会…

祝・『指南書』5刷

SQL

夏休みで沖縄の小浜島に来ていたところ、翔泳社の斉木さんから、『指南書』が5刷になったという朗報が入りました。これでついに1万部の大台に乗った。まあまだ刷っただけで、実売が届くのはもう少し先のことですが。 発売から二年経っても売れ行きは落ちて…

思考停止は気持ちがいい

琴光喜の野球賭博関与から始まった賭博事件は、相撲界全体を巻き込む規模に発展し、親方の追放という前代未聞の事態へと発展しました。 しかし、私は最初にこの報道を見たときから、琴光喜のやったことのどこがいけなかったのか、よく分かりませんでした。せ…