もう少し早く多様化してくれれば

 携帯電話業界が不況というニュースがここ一月ぐらい繰り返し流れていますが、これはもう国内市場が飽和して久しいのだから、構造的に起こるべくして起こったものです。人口よりも多い台数が既に出回っているのだから、新規市場の開拓は難しい。これは先進国では他も似たり寄ったりで、アメリカでもヨーロッパでも国内販売台数はほとんど頭打ちになっている。

 こういう場合、本当なら海外に新しい市場を求めるのが正攻法ですし、実際、欧米の携帯会社はそうしているのですが、日本の携帯の場合、色々な問題があってそれが出来ずにいます(この問題は、海部美知『パラダイス鎖国』に詳しい)。

 その結果どうなったかというと、執拗なまでに国内市場で売ることに固執したのです。短期間のうちに度重なるモデルチェンジを繰り返し、多種多様な機能を詰め込むことで差別化を図る。そのため、日本の携帯は海外のそれと比べると信じられないぐらい高機能です。でももともとパイが少ないので、このやり方はコストパフォーマンスが悪く、苦労する割には利益が少ない。それに私みたいに携帯に多くを求めないユーザにとっては全くありがたくない。

 でも最近この流れにも少し変化が見られるようで、シンプルで安価な携帯や、一世代前の売れ残りや中古の携帯が(不況と相まって)人気が出ているそうです。これは、携帯購入の選択肢が増えるという点で、消費者にとってはありがたい話です。こういう形で市場を掘り起こしてくれるのは大変助かる。私ももうちょっと待てばシンプルで安い携帯を選べたかな。昔の携帯って小機能なだけに意外とバッテリーも長持ちした記憶があるのですよね。