炊飯器のごとく舞い、冷蔵庫のごとく刺す

 Netezzaの入門コース研修へ参加してきました。内容については詳しく話すことはできませんが、実機を触ることもできて、なかなか面白かった。応用編も是非受けてみたい。

 数年前、Teradata、OracleIBM、MS という巨人たちが占有する DWH 分野に「アプライアンス」という概念を掲げて Netezza が殴りこみをかけたとき、ここまで急成長を遂げることを想像した人は少なかったでしょう。しかし、当初は "disrupter(秩序紊乱者)" とまで言われた同社も、最新のガートナー社のマジック・クアドラントでは早くも「リーダー」の仲間入りを果たしている。

 ハード・ソフトの保守窓口を一元化し、運用を簡単にして保守コストも低く抑えるという基本方針は、SI にとっても非常にメリットが大きいし、長期で見た TCO が削減できるなら、それは顧客にとっても嬉しい話です。同社の戦略は非常に明確で、今後ものびていく可能性は高い。

 不安が残るとすれば、まずパフォーマンス面では、多数のユーザが接続したときの性能低下の大きさ。これは実測しないと何とも言えないけど、前掲のガートナー・レポートでも不安が指摘されている(おそらくガートナーの情報の出所は、Toolbox for IT 掲示板で議論されている「Netezzaに2000以上のユーザ・セッションをつないだら?」でしょう)。掲示板の情報によれば、Netezza が同時実行できる SQL は最大 48 で、それ以上来たら待ち行列に並ぶことになる。そのため、48 を超える同時実行が発生した場合にガクンと非線形でパフォーマンスが落ちる可能性があるのです。

 もう一つの不安は、買収。最近の北米ソフトウェア業界は、もうベンチャーの買収は当たり前、既に確固たる地位を築いてベンチャーの域を脱した Siebel や Cognos のような企業ですら、買収の対象になっています。最近では、MySQL が Sun に買収されたことは、日本でも話題になり、記憶に新しい。

 Netezza は、今のところは独立独歩でやっていくつもりのようだけど、HP と Oracle の連合軍が全面対決の姿勢を見せているし、予断は許さない。同社にとってこれからの 1、2年は正念場になるでしょう。