今期のドラマ

 火曜の『明日の喜多善男』はなかなか期待できそうなドラマでした。日本版『アメリカン・ビューティ』かな。ちょっと淋しいシルバー世代の男性の心の隙間につけこもうとするあざとさが見え隠れするけど、そこは結末次第でしょうか。竜頭蛇尾に終わらず、最後はきっちり喜多さんを殺すことを望みます。

 水曜の『斎藤さん』も面白い。「智に働けば角が立つ、情に棹させば流される」の悩みは現代にも尽きないですねー。こっちは現代版『草枕』かな。戯画的にその閉鎖性が誇張されている描かれているママ・コミュニティの問題は、多分、規模の大小にかかわらずコミュニティに共通するものです。周りとうまくやっていこうと結束を固めようとすれば、どうしても排外主義的になる。閉鎖性を拒否しようとすると、究極的には斎藤さんのように一匹狼を貫く覚悟がいる。でも誰もがそんな茨の道は歩けないし、難しいところですね。正しさを保証する第三審級を持つことが稀な日本の社会では、特に。

 ことなかれ推進派の私としては、斎藤さんを心から応援することはできないけど、面白いテーマを扱うドラマではあります。今後に期待。