主観は客観を左右する

 意外に知られていないかもしれないけど、失業率の計算では、そもそも仕事を探す気のない人は失業中でも対象に含まれない。だから失業率を減らす方法としては、雇用を作る以外にもう一つ裏技があって、失業者に求職する気をなくさせるという必殺技があります。実際、ニートや通称「家事手伝い」などは今でも失業者にカウントされていない。これらの人々が俄然やる気を出して求職し始めると、日本の失業率はとんでもない高率になる。自殺行為なので、さすがに誰もこんな方法採らないだけです(少なくとも意識的には)。

 昨日、厚生労働省が、少子化対策として職場環境を改善するために、子供を持つ親の残業免除を企業に義務化する法案を検討していることが報道されました。職場環境の改善が少子化対策におそらく効果があるだろうとは、私も思うのでこの対策は悪くない。一番手のかかる生後すぐの子供を持つ知り合いは、「すぐにでも導入してほしい」と切望していました。

 でも、こうした人々の負担するはずだった残業の一部は、子供を持たない社員に転嫁されることになる。DINKS は、まあ自分達で選び取ったライフスタイルなので、とりあえずおくとして、結婚したかったけどできなかった未婚子無しの労働者が、一番割を食った感を持つだろうな。産休でいない間はまだ顔を見ない分、意識せずにすむ。でも、むしろ会社に戻ってきて早帰りシフトになったときに軋轢が生まれそうだ。今でさえそういう不満の声を現場から聞くのだから、助長されることは間違いないでしょう。まだ実現すると決まったわけではないのだけど、検討の余地の多いアイデアだ。