政治

ゼロリスクという無限遠点

昨年8月に小池百合子氏が都知事に就任して以来、常に大きな課題であり続けた豊洲市場は、都知事が豊洲移転の容認に傾いたことでほぼ政治課題としては決着したようです。豊洲の土壌や地下水から基準値以上の化学物質が検出されたことが話題となりましたが、結…

ダブルスタンダードの功罪

先月末、高木浩光氏のブログエントリ「ウイルス罪について法務省へ心からのお願いです」で、気になるニュースを見かけました。現在国会で審議されている「ウィルス作成罪法案」の内容について、江田法務大臣が、「バグの存在を知りつつ放置した場合」にも違…

政局はシステムが作り出す

内閣不信任案は大差で否決され、当面は菅内閣が続投するものの、任期中の首相が「辞任」を約束するという、日本らしいといえば日本らしい折衷的な決着を見ました。このタイミングで政権を交代するはっきりしたメリットが見出せない以上、この決着はシナリオ…

石原莞爾と杉原千畝

日本企業、特に大企業についてよく指摘されることに、「現場は優秀で上層部は無能」という特徴があります。半ば自虐的なジョークとして大企業の社員自らが「ネタにする」こともしばしばです。この感覚は、日本の組織で働いている人の間ではかなり広く共有さ…

票食者(spoiler)について

本日投票が行われた東京都知事選挙では、現職の石原都知事が半数近くの得票によって 4 選を果たしました。事前の予想とほぼ一致した結果でもあり、目立った政策的な対立軸もなかったことから、盛り上がりに欠ける終わり方をしました。東京 MX の出口調査によ…

『Economist』:普遍的価値をめぐる闘い

中国の民主活動家、劉暁波氏へのノーベル平和賞授与決定に際して、中国がノルウェーに対抗措置を取ったことは、改めて、中国が西欧的な社会原理を簡単に受け入れるつもりがないことを、世界に示しました。自由、民主主義、人権 ―― こうした西欧由来の概念は…

増税カモーーーーン!

3日の衆院予算委員会で仙石大臣はじめ閣僚の何人かが「法人税引き下げが望ましい」という意見を表明しました。これは非常にまともな認識なので、複数の閣僚がこういう認識を持っているというのは勇気付けられることです。 日本の法人税は OECD 加盟国の中で…

あれ・・・知らないうちに

自民党が正しい方向を向いている。せっかく良い方針転換をしたのだから、もっと大々的にアピールすればいいのに。「小さな政府」という言葉を使いたくないとか、まだ小さいことにこだわっているあたり再生の道も遥かだけど、とりあえず一歩を踏み出したこと…

いでよ日本共和党

長妻厚労相は製造業派遣禁止をまだやるつもりのようです。海外へのアウトソース、正社員限定ワークシェアリングと、派遣禁止に対する企業側からの三つの解のうち二つが出揃っているというのに。 アルバイトの増加という第三の解がニュースになるのも時間の問…

必勝の信念

官僚の答弁のいい加減さも手伝って事実上プロジェクト凍結という結論が出たり、それにノーベル賞受賞者が反論して菅氏も復活を示唆したり、事業仕分けの中でも話題の多い次世代スパコン開発ですが、私も興味が湧いたので議事録を読んでみました。 確かに文科…

せめて人間らしく

岡田外相が外務大臣としての本業とは別のところで面白いことをやっています。国会開会式での天皇の言葉に対して宮内庁に「もっと思いの入った言葉にしてほしい」と再考を求めた件です。もっとも、「本業とは別」というのは正確には正しくなく、内閣が天皇の…

情緒の呪い

かんぽの宿などの問題で揺れていた日本郵政の西川社長がついに辞任してしまいました。代わりの後任は「社会主義者」亀井大臣肝いりの元大蔵官僚に決まって、もうため息しか出ない。本当に残念です。さすがに全面国有化まで後退するとは思いたくないけど、日…

信念の男

亀井大臣の暴走が止まりません。今度は経団連にヤクザ顔負けの因縁をつけています。何を信じるのも個人の自由ではあるし、それをおおっぴらに発言する自由も日本では認められているけど、他人に押し付けようと思ったら科学的な根拠が必要です。昔の日本の教…

社会主義者まかりとおる

亀井静香という人が何を考えているかというのは、私にはよく分からない。鳩山総理も分かりにくいと言われる人だし、政治家は他人に胸中を簡単に悟られてはいけない仕事なのかもしれないけど、亀井氏の分かりにくさはそういうのとはまた違います。 警察官僚時…

自民党は共和党になれるか

自民党の総裁選が面白いことになっています。注目の候補は河野太郎氏。小泉改革の「小さな政府」路線を引き継ぐ、日本の政治家には少ない(というかほとんどいない)米共和党的な志向の人物です。今まで本気でこういう主張をしているのか判断しかねるところ…

だって人間だもの

新任の前原国交相が、八ッ場ダム建設中止をめぐって早くも地元および国交省と火花を散らしています。数十年にわたって国政に翻弄されてきた地元住民からの感情的な反発は強いものがありますが、財源問題を抱える民主党としても、公共事業の大幅な削減は実現…

なぜ人々は選挙を棄権しないのか

午前中、散髪にいくついでに投票を済ませてきました。今回の選挙は歴史的な転換点になるかもしれないだけあって、既に投票者が結構な列を作って並んでいました。投票率もかなり高いものになるでしょう。投票日ということで、今日のエントリではこの「投票」…

『Economist』:LDPの終焉と日本の夜明け

今度の衆議院選挙で民主党が地すべり的な大勝を収めるだろう、という予測は、投票1ヶ月前だというのに、もうほぼ固いものとなっています。この見解は外国のメディアの多くも共有していて、関心は既に、長かった自民党政権の総括と次の政治体制をどう構築すべ…

相続税の適正な税率は? (2):イエと個人

先日、相続税を取り上げたエントリには意外に多くの反響がありました。ブログを読む世代というのは総じて若いので、まだ身近な話題ではないだろうと思っていたのですが、そうでもないみたいですね。 karl さん、かのさんからそれぞれ面白い批判をいただいた…

相続税の適正な税率は?

今日、家のポストに幸福実現党の選挙ビラが入っていたのを読んで、ほお、と思った箇所が一つありました。 幸福の科学が政党を作ったという話は聞いていたのですが、宗教団体が政党を立てて政界進出をもくろむのは創価学会やオウム真理教の例もあるように、珍…

政治家は食わねど・・・

民主党の小沢代表が面白いことを言い出しました。「企業・団体献金は全面禁止すべきだ!」 確かに私も、企業献金の比率を下げた方がいいと思う人間の一人ですが、いきなりこんな大上段にかまえた逆襲に出るとは思わなかった。このパフォーマンスは、第一には…

不可視な物の価値

今朝、テレビでスーパーモーニングを見ていたら、国会議員の世襲問題を取り上げていました。この問題は、特に目新しいものではないけど、しかし年々世襲率は着実に高くなっているし、その弊害は大きくなる一方なので、放っておくわけにもいきません。何をも…

社長、お言葉ですが・・

今週の『モーニング』で島耕作が企業献金について面白いことを言っていました。再現するとこんな感じ。 「社長、こたびの件で企業献金について世間が騒いでおりますが、我が社は大丈夫でしょうか」 「案ずるでない。我が社はかねてより自民党6割、民主党4割…

二十歳の献金

小沢代表と民主党が、小沢代表の第一秘書逮捕で揺れています。この時期の逮捕には、あるいは民主党が言うように政治的圧力が働いているかもしれない。でもそういう政局の話や事件の詳細については、多くの識者がコメントするでしょうから、私はもっと一般的…