君は時代の空気を読めているか

 家人がクリスマス・リースの教室で作ってきたという作品(注:うちはキリスト教ではありません)。材料費など全部あわせて数千円だそうですが、本人はデパートで買えば数万円するであろうと豪語している。私にはこういうものの価値は判断できないので、コメントは差し控えさせていただきます。

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 さて、西友が、他店のチラシよりも一円でも高ければ、その場で値段を下げるというKY戦略(「カカクヤスイ」)なるキャンペーンを展開しています。家電の量販店などもたまにこういうのをやりますが、西友の場合、親会社のウォルマートが、この戦術によってアメリカで成功した経験がもとになっているのでしょう。

 西友の経営陣が自ら正しく「消耗戦」と名づけていたように、この戦略は基本的にはガマン比べのようなもので、西友側も赤字は覚悟している。でも、これによって地域で近隣の競合販売店を倒産に追い込むことができれば、後は西友の一人がちとなり、ゆっくりコストを回収できる。企業体力にすぐれるウォルマートはこれによって、昔から各コミュニティで細々やってきた小売店をなぎ倒し、「ウォルマートが通った後には荒野しか残らない」と言われるほど競争相手から恐れられる存在になった。もっとも、最近ではそのコミュニティ破壊力を消費者からまで恐れられて、アメリカ各地で出店反対運動に衝突しています。

 アメリカでうまくいったこの戦略が、日本でもうまくいくかどうかは、すぐには判断できません。日本マクドナルドユニクロなど、同じ価格破壊路線によって失敗した企業の前例もあります。ユニクロはその後、ブランド志向に転換することで持ち直しましたが、マクドナルドは、結局「デフレバーガー」の失敗で赤字が嵩み、藤田田は辞任するは、デフレスパイラルの原因の一つになったと社会的にも批判されるわで散々でした(そういえば今年の流行語候補にもあがった名ばかり管理職裁判で敗訴もしたのだった。あの激安価格が何によって可能になっているか、よくわかる)。今回の西友も同じ轍を踏まないとは言えない。ポスターにデカデカと「KY」の字を見たとき、私は一瞬「クウキヨメナイ」と読んでしまったけど(私以外にも大勢いるはずだ)、本当にそういう結果にならなければよいと、同社のためにも社会のためにも思います。